私はあなたと一緒にいたい。
もうすぐ、夜が明ける。
鳥は私を、迎えに来てくれる。
ようやく、どこかへ行けそう。
離れ小島に一人、ぽつねんと取り残された、
雨が降り続いて私はまるで、醜い白鳥の子。
ふとここで見つけた、何もなく空虚な箱。
誰なのあなたは、と、窓からのぞく目。
「みいつけた」
ようく、見て。誰も見ていない。
私は1人叫んで泣いた。相変わらず誰も見ていない。
西日が暑くてワンピースの中は湿っている。
貴方の腕を噛んでみたい。噛んでみたら、あなたはどうする?
ほのかににおいがした。カレーの匂いだ。
あなたの腕は硬そう。
私の好みは硬そうな、フランスパンみたいな、腕。
もちもちの白パンではなくてね。
そのまま指もなめる。あなたの指は短いね。少し不格好なの。
広い野原に寝転がる。夢が広がる。何も言いたくない空。こうしてじっくり見据えると、雲は変幻自在に形を変えて、私の元からさっさと去ろうとする。行かないで、とは思わない。雲はそうあるべきだ。私にもそれくらい、わかるのです。
なんだかね、その大きな目で見られるとわからなくなるの。
少年みたいな、わくわくした目をしてますよね。そう言ったら照れていた。
あなたが喋っている間、私はいつもまつげを見る。少し上に上がったまつげ。
どっと疲れてしまった。大きくハグをしてください。
あなたは、無機質とは無縁だ。有機物らしい人だ。
ずっとご飯を食べていてほしい。ゴミも散らかしていてほしい。
そんなに照れないで。
照れるのは私の前だけじゃないって気づくの悲しいなって
ふと一人思い出すあの日の出来事。
雑然とした毎日に追われて、お香をたくのも一苦労。
あなたに言われた悔しい言葉。どこへ行ったって思い出すのだから、
鳥が迎えに来てくれたけど、どうせどこへも行けないんだって
今日は鳥籠の中に籠る。鳥籠の中はあったかい。暗くて、しんとして、夢を見る。
あ、鳥籠が揺れた。
あなたが持ち上げた。鳥籠。
ねえねえ、気付いてよね。
大きな瞳でこっちを見てよね。
じっと見つめて私は照れちゃうけれど、私あなたの腕を早く噛みたいの。
なんでもいいけど、早く噛みたいのです。