作文帳

6分前

 ある日ね、私は恐ろしいことに気付いた。

お風呂で体を洗っていた時。ふと、私は死ぬまでずっと、私として生きていくんだということに、気付いたの。

わたしとしてのこの顔で、この体で、この心で。

生きてる間中、ずっと。

こわっ

なんちゅう恐ろしい話なのかい。

知っているようで知らなかった、とっくにわかっているようで実感していなかった。

わたしが苦手なもの、見たくないもの、知りたくないものから、わたしは逃げることができる。でも、わたしはわたしから逃げることはできない。何かを怖いと思う、避けたいと思う、わたしから逃げることはできない。

たとえばね、わたしは家族と外食するとお腹が痛くなるんです。

それがなぜかというのは、最近気づいたんだけど、

家族、特におばあちゃんとかも一緒にご飯食べてるときって、みんなにこにこしてる。幸せそうに。満ち満ちた雰囲気が流れている。

そこで、わたしはふと怖くなる。

この幸せが永遠ではないことをその雰囲気の裏に感じて。

幸せがはかないことをずっと小さいころからなんとなく感じ続けていて、それが恐ろしくて仕方なくなって、ご飯の味もしなくなるし、手汗が止まらなくなるし、えもいわれぬ不安に襲われて、髪の毛を何度もさすってごまかそうと頑張る。緊張状態が続いたのち、だんだんお腹が痛くなってくる。

楽しい場所に裏付けられた不穏な空気になんだか敏感なのね。

こんな不安、感じる人は多くはないと思うんだよね。普通に過ごせれば、どうってこともない場面なんだから。

そんな場面に大きな不安を覚えてしまうどうしようもないわたしから、わたしは逃げることができない。

それはすごく怖いことだよ。

最寄り駅から家まで自転車をこぐみたいな、映画とかだったら絶対カットされるようなどうでもいいシーンも、わたしはわたしとして演じ続けなければならない。

別に何も起こらない、ただ家に着くだけなんだから、私の人生上、カットしたっていいような気がするけど。

そこで初恋の人に会ったり、犬にかまれたり、流れ星を発見したり、そんなことが起こるなら、演じてやってもいいけどね。

あ、そっか、そういうことが起こるかもしれないから、人生なのかな、。

 

 

わたしが苦しいことも、あなたにとっては苦しくないってことがたくさんあるじゃない。

そんなとき、入れ替えできたっていい気がするし、

ああ苦しいな、って思ったら、少しわたしから離れられてもいい気がするんだよね。

空から苦しんでる私を見てるイメージ。

でも、できないんだよね。

 

わたしの過去から逃げられない未来のわたし。

がんばれって思うね。

ただ、苦しい私から逃げられないからこそ、私を助けようとわたし自身が策を講じるわけで、

苦しみを感じてくれるわたしがいなかったら、私はとっくのとうに死んでるのかもしれない。

私を助けられるのは、わたししかいないのかもしれない。

 

あー、そんなとこに行きついた。

この前はただただ私から逃れられないことがこわかったけど、

わたしが私から逃げることができてたら、もっと怖いことが起きてたのかもしれないって気づけた。

そっか。