作文帳

6分前

不整脈が治らない

あたたかい春の夜はわたし、小学生の頃の帰りの会を思い出す がちゃがちゃと騒がしい教室に背の高い先生の大きな声響いて、私は田んぼの先の夕暮れの空と 黙って連絡帳を書く君の手を交互に眺めていた。

 

 

あたたかい春の夜はいろんなことに気づく。私もしかしたらなにか間違ったのかなって 頭の中でいろんな人の顔がシールでベタベタに貼られてしまう。壁に貼ってあるシールが苦手な友達がいたなと思う。そんな気分。長すぎた昼寝で体が熱い。薄ぼんやりした病院の廊下の向こうに見える行列。長すぎる昼寝のせいで怖いものが見える。懐かしくて得体が知れなくて怖い。

私あなたに会いたいけれど、あなたも会いたいと思ってるんじゃないかなあ。こう思うのは私があなたのこと好きだからなのかなあ。私もあなたも何か間違ったのかもしれないけど、それがなにさって話なのさ。あなたはそうは思わないかもしれないけどね。傘を杖みたいにして歩く。そこは古くさい商店街。私は貴族になって古くさい街並みを闊歩したいと思う。そんなこと誰にも伝えない。ねえ私あなたに会いたい。もう少ししたら、だけど。可哀想なのは忠告を受けたあなた。

 

 

あたたかい春の夜、少し好きだった男の子と一緒に帰ったのを思い出すような気持ちになる。葡萄の果汁で藍染めしたみたいな空にまっしろい三日月。1番星がまたたいて、あれをネックレスにしたい。私はそんなことだって考えていて、隣の男の子は少し先を歩いた。男の子の足は長く、回転も速い。私はとろくて追いつかない。少し好きだったくらいだから、そんなに傷つかない。そう言い聞かせてみた。